劇場とは


観客を集めて芸能を上演して見せる場所を劇場と呼んでいる。
一般的に、建物そのものを劇場ということが多いが、本来は芸能を作る

組織(人材)と舞台機構(機材)を併せて劇場と呼ぶべきである。


芝居という言葉は、芝生の見物席のことである。昔は寺や神社の境内の

芝生を見物席にすることが多かったので、見物席または見物人を芝居と

呼んだ。イタリア語のテアトロは歌劇場のことであるが、「見物する場

所」という意味のギリシャ語「theatron(テアトロン)」から来たもの

である。

 

劇場を支えているのは観客、つまり市民ということになる。

そして劇場の運営を支えているのは、舞台技術者をはじめとする多くの

スタッフである。企画、制作、演出、切符販売係、宣伝担当、プログラ

ム編集担当、観客案内係、清掃係、どれ一つ欠けても劇場として成立し

ない。

 

劇場は民営であろうが公営であろうが、大衆に夢と希望を売るのが商売である。

劇場は、芸能を製造する工場である。そのために、舞台を演出する様々

な設備とそれを操作する熟練者が必要なのである。熟練者は経験豊富な

劇場技術者のことである。
舞台を裏から支えている技術部門は、大道具、小道具、床山、化粧、衣

装、かつら、舞台進行、美術進行、舞台機構操作、照明、そして音響

などがある。劇場を 本物の劇場として運営するためには、技術の伝承、最新技術の開発および導入、そして劇場技術者の養成機関が必要である。


芸能が生まれた初期は、演出家すら存在せず、主役の役者が自ら演出を

していた。ところが、高度な技術を取り入れ、演出手法が発展するにつ

れて演出の専門家が 必要になった。

さらに、舞台機構が進歩して表現方法が複雑になると演出家一人では対

応できなくなり、技術的効果の演出は専門家に任せるようになって、舞

台 装置家や照明家が生まれた。現在でもヨーロッパのバレーなどでは、演出家が舞台装置、衣裳、照明のデザインを兼ねることもある。

海外の劇場には、専従の技術スタッフがいて、大道具、衣裳、小道具な

どを劇場内の工房で製作している。

現在の日本では、公演ごとにスタッフが編成され、演出家の意向で舞台

美術、舞台衣裳、照明、音響などのデザイナーが選ばれ、そのデザイン

を具現する技術スタッフは各スタッフ会社から派遣されることが多い。

  

劇場を支える人々

制作者 作家 演出家
俳優 作曲家 演奏家 振付家



舞台監督
舞台美術=装置デザイナー/衣裳デザイナー/照明デザイナー
音響デザイナー



舞台技術者(美術進行/舞台機構操作/大道具仕込み・転換)
照明技術者(オペレータ/センタースポット/ステージワーク)
音響技術者(オペレータ/ステージワーク)
大道具係(製作/仕込み・転換)
小道具係(製作/仕込み・転換)
かつら(製作) 床山 化粧 衣裳
特殊効果(火薬物・レーザーの操作)
楽屋係



宣伝係 入場券係 観客席係 営業係 経理係 営繕係 清掃係

  

演出家は、自分または作家のメッセージを観客に伝えるため、あらゆる手段を用いて表現しようとする。技術スタッフは、演出家のやりたいことを実現させるのが 仕事である。そして、全スタッフが演出方針にそって協力し、全部門の調和がとれた作品を作る。そのためには、自分以外の分野の仕事を良く理解し、他の部門 と同一次元で協調して創造作業に参加しなければならない。

そのためには、舞台技術全般の知識と劇場全体の仕組みを把握した上で、電子技術、心理学、物理学、建築技術の知識を身につけ、演劇や音楽に精通し、絵画や彫刻などの芸術鑑賞により感性を磨くべきでしょう


top page