幕内瓦版 最新号
[劇場文化講座「国立劇場の舞台技術」-伝統芸能上演のために-]
実施報告書
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日時・場所 |
2026年06月22日(月) 18:30 〜 21:00 としま区民センター会議室6F 会議室601~602 |
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講師・協力 |
当連盟顧問 安藤裕之(元独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場舞台技術部長)理事長 齋藤讓一(元国立劇場舞台技術部) 協力 森平舞台機構株式會社 西村智司(営業部部長) |
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参加者 |
参加会員総計 14名(松行顧問、高橋理事、黒田理事、高明編集長他) 実施報告・記録 八乙女真記子 株式会社松村電機製作所 塚田暁東に本統括部長、丸茂電機株式会社 取締役技術部部長 山塚秀光、取締役営業部部長 吉田大二、営業部営業1課課長 関根伸也、森平舞台機構株式會社 中村卓司営業課長2名 |
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目的・概要 |
劇場は、時代の欲望と理想の反映であり、記憶や思い出の集積する場所である。日本の伝統芸能のメッカである国立劇場の果たしてきた役割の中で、専門劇場としての運用における舞台の実際を顧みます。(フェイスブック募集内容より抜粋) |
1.講座の主な内容・要旨 ※敬称略
・前半は齋藤氏のあいさつと講座についての説明。司会高橋氏より安藤氏にバトンが渡り「国立劇場の舞台監督と美術」について資料・スライドを用いて説明があった。
・後半は10分休憩の後、19時50分より開始。森平舞台機構株式會社より、国立劇場機構部分についてスライドをみながら解説。次に安藤氏より補足説明と締めの言葉があった。司会高橋氏よりバトンを受け取り、齋藤氏が話して21時講座終了となった。
2.講座内容(概略)
国立劇場は10年の空白の後、生まれ変わるのが今から14年、15年後である。歌舞伎は年間3公演しか興行できない。伝統芸能の継承にもかかわってくる。小さな声をあげていくためのひとつであるのがこの講座と齋藤氏は話す。「改訂版国立劇場の舞台技術―伝統芸能の上演のために@独立行政法人日本芸術文化振興会」の冊子を用いて、安藤氏より解説があった。舞台技術の中でも今回は「舞台監督」「舞台美術」についての解説。双方がどんな仕事を担い、どんな視点で舞台づくりに取り組むのかすべてまとめた物がこの冊子である。
国立では狂言作者と呼ばれる狂言を書く人が一名おり通常では書き物と小道具や衣装の発注を行うが、国立劇場では舞台監督を置いている。以前は芸能部に所属していたが、近年舞台技術部に戻る。監督と美術は舞台技術の頭脳・創造性のある分野である。
●舞台監督…舞台公演が始まる前から終わってからも総合的な司令塔として活躍する。舞台に関わる予算(人件費・大道具・小道具)積算、舞台日決算、進行表作成、舞台記録の聖地、禁止行為の解除申請等等。緞帳の上げ下ろし時に使うキーワードは安易に使用しないなど、進行のテクニックがある。1年間は現場を見て、主催公演について理解を深める。3年目見習い実施~4年目10年とシンプルな公演を担う。歌舞伎ができるようになるには10年かかる。
●舞台美術…観客から見える舞台美術(装置)舞台美術には、大道具・小道具がある。役者が手に持つものは小道具扱いになる。舞台美術は道具長と平面図の作成を行う。道具長は主にアクリル・顔料を使用し描写。平面図はCADを使用して作成する。デザインは明治以降…残っている写真、江戸時代…錦絵などから情報収集を行う。また、台本から道具長制作に情報を読み取っていく。座頭、主演俳優によってもデザインが変わってくる。意見や希望を聞いて方向性を決める。また江戸・上方(関西)によっても違い、関西はより文楽と共通するため写実的な描写である。公演前の打ち合わせは、照明のあたり、衣装とのかぶりがないか、音の跳ね返りなど多方面の気づかいや配慮が要される。本番1週間前は稽古場立ち合いのもと、俳優の登退場の確認や追加変更に対処する。また仕掛けの調整等、舞台に上げてからも細やかな調整が入る。
また、古典芸能の稽古は歌舞伎の興行が終わり次第始めるため「5日程度」。その中で読み合わせ~総ざらいまで行い「舞台稽古は2日間」行う。本番どおりに行うものが1日、翌日役者は衣装をつけず着流しで行うのは、直しで時間がかかることがあるから。「舞台進行表」はとても細かなもので、分野によって色分けがされている。頭の中に入れて取り組むものだが、暗い袖の中でも見分けがつくよう工夫されている。後半より森平舞台機構からは国立小劇場の内部写真と構造の説明スライドとともに説明があった。吊りもの機構、迫り、廻り舞台、ワイヤードラム、花道、すっぽん迫り、出語り床・太夫回し(人力で回している)普段見られない裏の部分や、構造が写真と説明で良くわかる時間であった。また、安藤氏にバトンが渡り、補足説明と閉めの言葉があった。
その後、最後に齋藤氏より、ご自身のこれまでの経験と思いについて話しがあった。国立劇場がなくなって、改めて価値を感じる事、劇場技術や芸能の奥深いものを担っていることを痛感。この問題、この価値を連盟としても注目できるようこれからも活動していくことを宣言された。
3.参加者の感想
・日本の伝統芸能の奥深さを感じた。そう簡単には継承できない積み重ねと経験が必要。同時に舞台を支える者、作る者の思いを振り返ることができた。ふと、劇団時代にお世話になったスタッフさんを思い出し、台本を理解するだけでなく、足元明かりや明かり漏れがないよう幕を加えてくれた事や、照明さんが、ゲネを見て自分の芝居が目立つよう照明を加えてくれた事を思い出して、なんだか胸が熱くなった。舞台は刹那的の中に、沢山の力や想像力が集まった総合芸術だと改めて感じた。ニュースでは聞いていた国立劇場の問題。今後のことや、そこで働いていた人は今どうしているのか、なぜあんなにも入札にもめたのか等、掘り下げてみたら奥深い社会と演劇の関係の永遠のテーマが浮き彫りになってくるような気がした。
【幕内瓦版25号】
一般社団法人 日本劇場技術者連盟