連盟誌

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※最新号は15号です

2026年事業実績

劇場文化講座:「国立劇場の舞台技術」-伝統芸能上演のために-令和8年6月22日(月)

劇場は、時代の欲望と理想の反映であり、記憶や思い出の集積する場所である。日本の伝統芸能のメッカである国立劇場の果たしてきた役割の中で、専門劇場としての運用における舞台の実際を顧みます。

 

日時 令和8年6月22日(月)18時30分~20時30分

場所 としま区民センター会議室6F 会議室601~602

講師 当連盟顧問安藤裕之(元独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場舞台技術部長)

   理事長 齋藤讓一(元国立劇場舞台技術部)

協力 森平舞台機構株式会社

参加費 会員無料

 

(講師のプロフィール)

 

安藤 裕之

(略歴)

昭和56年 東京外語大学ロシア語学科卒業

同 56年 特殊法人国立劇場

平成13年 国立劇場おきなわ担当(開発準備室)

同 19年 芸能部第二制作課長

同 21年 新国立劇場部副部長

同 24年 国立演芸場部長

同 28年 舞台技術部長(~平成31年まで)

同 31年 一般社団法人日本劇場技術者連盟専務理事

令和 3年 一般社団法人日本劇場技術者連盟顧問(~現在に至る)

(主要な担当作品・舞台等)

新進芸術家技術者のための育成事業「劇場技術者認定講座」「伝統芸能講座」等

(主な功績)

 永年にわたり、国立劇場、新国立劇場等に勤務し、劇場の運営管理に携わってきた。その傍ら国立劇場おきなわについては、開発準備の段階から専門的な劇場技術分野の知識を用いて、劇場の建設に寄与した。また、他の劇場についても、劇場管理の観点から建設に助言し、その専門知識により、劇場建設に寄与した。

 定年後は、一般社団法人日本劇場技術者連盟専務理事として活躍し、連盟規約の見直しや整備等、会の運営のみならず、劇場技術者の福利厚生にも取り組み、劇場技術者育成及び研修事業計画を進めて劇場技術全体の発展に寄与している。

 現在は、一般社団法人日本劇場技術者連盟の劇場管理運営者顧問として、情報誌の発刊に中心的な役割を果たしている。また、市民文化活動の創造の劇場や文化ホールに従事する技術者にも、国際劇場技術・建築会議等の交流等を通じて、ホール・劇場の改修を実現するために必要なことや実際の改修での取り組み、改修事例を伝え、改修の課題を抱えているホールや劇場の課題解決に貢献している。

令和6年度文化庁長官表彰

 

齋藤 讓一(さいとう じょういち)

制作・演出・舞台技術・劇場コンサルタント 

 

 神奈川県横須賀市生まれ。日本大学芸術学部卒業。ススキダ演技研究所実習科一期修了、劇団阿香車設立参加、劇団事務局長・制作委員長、マキシム・ゴーリキー作「どん底」、イプセン作「人形の家」「幽霊」などの主演、望月優子友の会では、ゴーリキー原作「母」、三好十郎作「獅子」、「崖」等に主演及び演出助手。劇団マールイ「マリーアントワネット」舞台監督及び演出代行。冠ミュージカル「少公女セーラ」舞台監督等。

 昭和54年特殊法人国立劇場舞台技術部舞台課入社、その後国立能楽堂に転任。平成5年から埼玉県芸術文化振興財団彩の国さいたま芸術劇場舞台技術課長、プロダクション・マネージャーの任を担い、管理統括室長、営業室長、埼玉会館長を経て、2009年3月に埼玉県芸術文化振興財団を退職、千葉商科大学や中央工学校等の非常勤講師、政策研究大学院大学文化政策コースアドバイザリー(~2025)。

 現在は、一般社団法人日本劇場技術者連盟理事長、公益社団法人日本演劇協会監事。

文化政策の「劇場の価値について」の講座や「演劇・舞台技術ワークショップ」「ステージクラフト」などの地域支援人材育成事業や交流活動も多く、劇場建築技術及び管理・運営企画アドバイザーをしている。現在の地域活動は、川口市文化三賞選考委員、文化芸術審議会副会長、鎌ヶ谷市きらりホール運営委員会委員長など。

 国立劇場舞台技術部では、ドイツブレーメン表現舞踊、京劇、レーニングラード・ボリショイドラマ劇場等の海外招聘公演の多くを舞台担当。他に日本能楽協会主催の芸術祭及び全国巡演等の能楽公演の舞台技術監督。

 彩の国さいたま芸術劇場創成期に、ドイツのピナ・バウシュやNDTのイリ・キリアン、カナダのエドゥアール・ロック等コンテンポラリー・ダンスの海外招聘大型公演や彫刻家新宮晋の世界「星のあやとり-五つの惑星への旅」の舞台化などプロダクションマネージャ-や舞台演出の任を担う。他に現代演劇、邦楽、各種イベントなどの演出活動も多く、アジア舞台芸術家交流事業インドネシアとの共同制作「虹の伝説」の構成・脚本演出や邦楽「薩摩琵琶」、清水邦夫作「狂人なおもて往生をとぐ」、歴史劇「坂本竜馬」の演出など多数。著書に新評論『創造を支える劇場技術者』、ペリカン社『舞台芸術専門家という仕事』や国際交流基金機関紙『国際交流72~78号』に寄稿等。令和2年度文化庁長官表彰。

 

 

[劇場文化講座「国立劇場の舞台技術」-伝統芸能上演のために-]

実施報告書

日時・場所

20260622日(月) 18:3021:00

としま区民センター会議室6F 会議室601~602

講師・協力

当連盟顧問 安藤裕之(元独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場舞台技術部長)理事長 齋藤讓一(元国立劇場舞台技術部)

協力 森平舞台機構株式會社 西村智司(営業部部長)

参加者

参加会員総計 14名(松行顧問、高橋理事、黒田理事、高明編集長他) 実施報告・記録 八乙女真記子

株式会社松村電機製作所 塚田暁東に本統括部長、丸茂電機株式会社 取締役技術部部長 山塚秀光、取締役営業部部長 吉田大二、営業部営業1課課長 関根伸也、森平舞台機構株式會社 中村卓司営業課長2

目的・概要

劇場は、時代の欲望と理想の反映であり、記憶や思い出の集積する場所である。日本の伝統芸能のメッカである国立劇場の果たしてきた役割の中で、専門劇場としての運用における舞台の実際を顧みます。(フェイスブック募集内容より抜粋)

1.講座の主な内容・要旨 ※敬称略

・前半は齋藤氏のあいさつと講座についての説明。司会高橋氏より安藤氏にバトンが渡り「国立劇場の舞台監督と美術」について資料・スライドを用いて説明があった。
・後半は10分休憩の後、1950分より開始。森平舞台機構株式會社より、国立劇場機構部分についてスライドをみながら解説。次に安藤氏より補足説明と締めの言葉があった。司会高橋氏よりバトンを受け取り、齋藤氏が話して21時講座終了となった。

2.講座内容(概略)

国立劇場は10年の空白の後、生まれ変わるのが今から14年、15年後である。歌舞伎は年間3公演しか興行できない。伝統芸能の継承にもかかわってくる。小さな声をあげていくためのひとつであるのがこの講座と齋藤氏は話す。「改訂版国立劇場の舞台技術―伝統芸能の上演のために@独立行政法人日本芸術文化振興会」の冊子を用いて、安藤氏より解説があった。舞台技術の中でも今回は「舞台監督」「舞台美術」についての解説。双方がどんな仕事を担い、どんな視点で舞台づくりに取り組むのかすべてまとめた物がこの冊子である。

国立では狂言作者と呼ばれる狂言を書く人が一名おり通常では書き物と小道具や衣装の発注を行うが、国立劇場では舞台監督を置いている。以前は芸能部に所属していたが、近年舞台技術部に戻る。監督と美術は舞台技術の頭脳・創造性のある分野である。

●舞台監督…舞台公演が始まる前から終わってからも総合的な司令塔として活躍する。舞台に関わる予算(人件費・大道具・小道具)積算、舞台日決算、進行表作成、舞台記録の聖地、禁止行為の解除申請等等。緞帳の上げ下ろし時に使うキーワードは安易に使用しないなど、進行のテクニックがある。1年間は現場を見て、主催公演について理解を深める。3年目見習い実施~4年目10年とシンプルな公演を担う。歌舞伎ができるようになるには10年かかる。

●舞台美術…観客から見える舞台美術(装置)舞台美術には、大道具・小道具がある。役者が手に持つものは小道具扱いになる。舞台美術は道具長と平面図の作成を行う。道具長は主にアクリル・顔料を使用し描写。平面図はCADを使用して作成する。デザインは明治以降…残っている写真、江戸時代…錦絵などから情報収集を行う。また、台本から道具長制作に情報を読み取っていく。座頭、主演俳優によってもデザインが変わってくる。意見や希望を聞いて方向性を決める。また江戸・上方(関西)によっても違い、関西はより文楽と共通するため写実的な描写である。公演前の打ち合わせは、照明のあたり、衣装とのかぶりがないか、音の跳ね返りなど多方面の気づかいや配慮が要される。本番1週間前は稽古場立ち合いのもと、俳優の登退場の確認や追加変更に対処する。また仕掛けの調整等、舞台に上げてからも細やかな調整が入る。

また、古典芸能の稽古は歌舞伎の興行が終わり次第始めるため「5日程度」。その中で読み合わせ~総ざらいまで行い「舞台稽古は2日間」行う。本番どおりに行うものが1日、翌日役者は衣装をつけず着流しで行うのは、直しで時間がかかることがあるから。「舞台進行表」はとても細かなもので、分野によって色分けがされている。頭の中に入れて取り組むものだが、暗い袖の中でも見分けがつくよう工夫されている。後半より森平舞台機構からは国立小劇場の内部写真と構造の説明スライドとともに説明があった。吊りもの機構、迫り、廻り舞台、ワイヤードラム、花道、すっぽん迫り、出語り床・太夫回し(人力で回している)普段見られない裏の部分や、構造が写真と説明で良くわかる時間であった。また、安藤氏にバトンが渡り、補足説明と閉めの言葉があった。

その後、最後に齋藤氏より、ご自身のこれまでの経験と思いについて話しがあった。国立劇場がなくなって、改めて価値を感じる事、劇場技術や芸能の奥深いものを担っていることを痛感。この問題、この価値を連盟としても注目できるようこれからも活動していくことを宣言された。

3.参加者の感想

日本の伝統芸能の奥深さを感じた。そう簡単には継承できない積み重ねと経験が必要。同時に舞台を支える者、作る者の思いを振り返ることができた。ふと、劇団時代にお世話になったスタッフさんを思い出し、台本を理解するだけでなく、足元明かりや明かり漏れがないよう幕を加えてくれた事や、照明さんが、ゲネを見て自分の芝居が目立つよう照明を加えてくれた事を思い出して、なんだか胸が熱くなった。舞台は刹那的の中に、沢山の力や想像力が集まった総合芸術だと改めて感じた。ニュースでは聞いていた国立劇場の問題。今後のことや、そこで働いていた人は今どうしているのか、なぜあんなにも入札にもめたのか等、掘り下げてみたら奥深い社会と演劇の関係の永遠のテーマが浮き彫りになってくるような気がした。

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