劇場技術者のための用語の解説


 

明転(あかてん) 舞台転換方法のひとつ。舞台も客席も明るいまま

「回り舞台」や「迫り(せり)」などを使用して場面を転換すること。「めいてん」「あかりてん」ともいう。【反対】暗転【参照】回り舞台、迫り


アクティング<(英)acting > 演技、所作。


アクティングエリア<(英)acting area > スタジオや舞台における演技をする所の範囲。


アクトレス<(英)actress > 女優。


あごあし 「あご」は食事、「あし」は旅費のこと。「あごあし付き」とは、食事と旅費が、報酬とは別途に支給されること。


足(あし) スタジオや舞台において、床よりも高く舞台装置を組むとき、平台(ひらだい)の下に入れて支える台のこと。「うま」「はかま」などともいう。箱足(はこあし)は足の代表的なもので、箱の置き方で高さが変わる便利な道具である。「箱馬」ともいう。


アトラクション<(英)attraction > 催し物における呼び物。


アリーナ<(英)arena > 古代ローマの円形劇場の中央に設けた円形の闘技場のこと。転じて体育館や競技場の競技する床面のことをいう。


アンコール<(仏)encore > 再びという意。音楽会で、全演目が終了した後、演奏者を拍手で呼び出し、再び演奏を望むこと。


暗転(あんてん) 劇場などで、舞台と客席との照明を消して、その暗やみの中で場面転換をすること。
【反対】明転 【参照】暗転幕


暗転緞帳(あんてんどんちょう) 舞台と客席の照明を消して、暗いままで緞帳を上げて開幕すること。または下げて終幕すること。


暗転幕(あんてんまく) 暗転の際に降ろす黒い幕。舞台転換が複雑な場合に、全体の照明を消したあと暗転幕を降ろして、舞台の中だけ作業照明をつけて転換をする。暗転幕のかわりに緞帳を用いることもある。


 

衣装合わせ(いしょうあわせ) 演出家や美術家が立ち合いのもと、俳優が衣装を試着して、舞台で使用するものを選定すること。


板付き(いたつき) 舞台で幕が開いたとき、または回り舞台で場面を転換したときに、出演者がすでに所定の位置に登場していること。板は舞台の床板をいう。歌舞伎では幕が開き切って、チョンという柝の音が入ってから台詞や動きを開始する。【反対】フレームイン


一ベル(いちベル) 通常、開演5分前を知らせるベル。予鈴(よれい)ともいう。現在ではベルを使用せず、ブザーやチャイムなどを用いている。


一文字幕(いちもんじ)<(英)border/teaser > 舞台上部に間口一杯に横に張られた黒い幕。見た目に一の字のように見えることから、この名称になった。略して「もんじ」ともいう。舞台の奥に向かって 間隔をおいて数枚が設置してある。高さを調節して、大道具の上部や吊ってある照明器具を客席から見えないようにするためと、舞台全体を引き締める目的で用 いる。「無の空間」という意味で、黒い幕が用いられる。関西では「かすみ」、九州や名古屋の一部では「べか」とも呼ぶ。


イベント<(英)event > 催し物。


入れ込み(いれこみ) 舞台の準備が完了して観客を劇場内に入れることをいう。「入れ込みは5時で開演は6時」というように使う俗語。「客入れ」ともいう。


インカム インターカムの略称。【参照】インターカム


インターカム<(英)intercommunication system >の略称。各部署への指令、または相互連絡のための通信装置。「インカム」ともいう。


インターバル<(英)interval > ◎合間、幕間、休憩時間。◎音程のこと。


イントレ 照明器具、スピーカシステム、テレビカメラなどをのせるヤグラ、鉄塔のことをいう。イントレの語は、映画の題名「イントレランス」からきている。 この作品の中で初めて高い撮影台を使い、画期的な大ロングショットや壮大な群衆場面の撮影に成功した。このことから、ヤグラ式撮影塔のことを「イントレ」 と呼ぶようになった。


 

 

馬足(うまあし) スタジオや舞台で、床面よりも高い床の舞台装置を組むとき、床となる平台の下に入れて支える台。馬ともいう。


裏方(うらかた) 劇場において、幕の裏側で働く舞台技術者、舞台関係者。役者を除いた、大道具、小道具、衣装、床山(とこやま)、音響、照明、舞台監督などの総称。案内係や切符係、宣伝係などは表方(おもてかた)という。【反対】表方


 

エキジビション<(英)exhibition > 展覧会、博覧会。


エレベーション<(英)elevation > 舞台装置の透視図。完成した装置の実物を見るように、遠近感をつけて描かれた図。


演出(えんしゅつ) 演劇の上演台本の決定から観客の前で演じるまでの創造過程において、配役、俳優の演技、装置、照明、音響、衣装、小道具など全体を、芸術的にまとめること。


演出家(えんしゅつか) 上演する劇を芸術的にまとめる仕事をする専門家。


エンターテイナー<(英)entertainer > 芸能人。


エンタテインメント<(英)entertainment > 娯楽、余興、演芸の意。


エンディング<(英)ending > ◎楽曲の終わりの部分。◎演劇の終末の部分。


 

大道具(おおどうぐ) 舞台上に組み立てられた飾りのこと。建物、書割(かきわり)、樹木、岩石など俳優が手に持つことのないもので、演出上必要とする場面 を表す道具の総称。ただし、家具、屏風(びょうぶ)、装飾品、駕籠(かご)など持ち運びするもの、俳優が手にするものは「小道具」と呼ばれる。例えば、大 木の枝を出演者が折る場合、木の幹や枝は大道具だが、折る枝に限って小道具になる。大道具は、時間的、経済的な製作上の制限、操作や保存上、合理的に考え られ、一定の高さや長さをもった基本の道具がある。歌舞伎の場合、幕の開閉、つけ打ちも大道具係の仕事である。


置き舞台(おきぶたい) 所作舞台と同意語。


おくら 既に完成している映画作品を、都合により一般公開しないこと。放送中止、上演中止の意でも用いている。


オーケストラピット<(英)orchestra pit > ピットとは穴という意味である。舞台と観客席の間にある、オーケストラが演奏するための場所のこと。通常、ミュージカルやバレエ、オペラなどのオーケストラはこの場所で演奏する。オーケストラボックスともいい、略してオケピット、オケピ、オケボックスという。


オーケストラボツクス<(英)orchestra box > オーケストラピットと同意語。【参照】オーケストラピット


オーディエンス<(英)audience > 観衆、聴衆。視聴者。


オーディオビジュアル<(英)audio-visual > 視聴覚の。略してAV。


オーディトリアム<(英)auditorium > 観客席。公会堂。


オーバーアクション<(英)over action > 俳優の大げさな演技。大げさな動作。


オーバーラップ<(英)overlap > 重なり合うこと。


音出し(おとだし)
◎設置を完了した音響システムから音を出すこと。音を出して回路をチェックすること。
◎演奏を始めること。。
◎稽古などを開始すること。


オフレコ off the recordの略。公表しないこと。記録に残さないこと。


オープンステージ<(英)open stage > 非プロセニアム劇場のこと。プロセニアムによって額縁のようにふちどられていない劇場で、舞台と観客席が同一の空間にある形式。舞台が客席の中央にあ るものをセンターステージ、3方向から観客席に囲まれた舞台をスリーサイドステージという。


オペラカーテン<(英)tab curtain > 中央から割れて左右の斜め上に引き上げる形式の幕のことで、日本ではオペラにだけ使用する傾向にあるのでオペラカーテンと呼んでいる。


オペラグラス<(英)opera glass > 観劇用の小型双眼鏡。


オペラハウス<(英)opera house > オペラを上演するための劇場。歌劇場ともいう。


オペレーション<(英)operation > 操作のこと。


オペレータ<(英)operator > 操作する人。


オペレッタ<(伊)operetta > 軽歌劇。オペラより小規模、軽妙で、陽気な音楽劇。社会、政治、人間関係、男女関係などを、滑稽に風刺した庶民の歌劇。


表方(おもてかた) 劇場において、幕の表側で仕事をするスタッフのこと。舞台技術者を裏方と呼ぶのに対して、観客を案内する係、切符係、宣伝係などを表方と呼ぶ。【参照】裏方


オリジナリティ<(英)originality > 独創。独創性。


オリジナル<(英)original > 独創的な。原本、原作、原文、創作、原画、原型。


音響反射板(おんきょうはんしゃばん) プロセニアム形式の劇場で室内楽やオーケストラを演奏するとき、コンサートホールの音響条件に近づけるために設置する舞台機構。
舞台の背面、側面、天井を囲って、演奏する位置と観客席を同一空間の状態にして、コンサートホールの音響特性になるよう音響補正をするためのもの。組み立て解体する形式のものと、移動して格納する形式のものがある。反響板ともいう。


 

開場(かいじょう) 劇場、ホールで観客を場内に入れること。「入れ込み」ともいう。


開帳場(かいちょうば) 舞台やスタジオの舞台装置で、床を任意の方向に傾斜させ、俳優が昇り降りできるようにした大道具。山道や坂道などに用いられる。寺 院のお開帳のとき、多数の参詣客の混雑による危険防止のため、階段の上に板を敷いて作った斜面に似ているのでついた名称。八百屋ともいう。


かえし
◎繰り返しの略。稽古を繰り返すこと。芝居の一部分だけを繰り返すことを小返し(こがえし)という。
◎フォールドバック・スピーカを「返しスピーカ」、略して「返し」という。


書割(かきわり) 背景幕や張物に風景、壁、戸、窓、柱、家具、家屋などを描いたもの。直線で輪郭をハッキリ描いて、彩色で濃淡を付けて立体的に見せる。描くことを「書き割る」という。


楽屋(がくや)<(英)dressing room > 出演者が衣装を着けたり、化粧をするなどの準備をして、待機する部屋。


陰囃子(かげばやし) 邦楽で、三味線と唄が舞台に出て演奏しているとき、鳴り物(太鼓、大鼓、小鼓、笛、その他)を客席から見えない場所で演奏すること。


飾り込み(かざりこみ) 大道具や小道具を、舞台やスタジオに設置し組み立てる作業。「飾る」ともいう。大道具を組み立てることを「建て込み」という。


固める(かためる) リハーサルや打ち合わせを十分に行って、音響、照明、演技などを演出意図に添って、確実なものにすること。


カットクロス<(英)cut cloth/foliage border > 森の木、アーチなどの形に切り抜いた布製の大道具で、バトンに吊って使用する。


カーテン<(英)curtain > 緞帳(どんちょう)や引幕(ひきまく)などの総称。


カーテンコール<(英)curtain call > 幕切れのあと、拍手かっさいで出演者を舞台に呼び戻すこと。


上出し(かみだし) 回り舞台の回し方のひとつ。時計の針と同じ方向に、客席から見て右側が出てくるように回転すること。逆回しともいう。【反対】下出し


上手(かみて) 客席から見て、舞台の右側のこと。外国では、舞台から客席に向かって左右を設定しているので、上手はステージレフト(stage left)という。【反対】下手


カラオケ ボーカルだけを抜いて録音された伴奏音楽。


完パケ(かんぱけ) 編集作業が終了し、いつでも本番に使用できる状態に仕上がった録音テープのこと。完全パッケージの俗称。


カンパニー<(英)company > 劇団、演劇組織。


 

柝(き)
◎人形浄瑠璃、歌舞伎などで使用する拍子木。柾目(まさめ)の通った樫の木で造る。劇の進行の一切の合図はすべて柝の音で行う。その時々の知らせる内容によって、さまざまな打ち方がある。

◎仏教の読経で使われている節柝(せったく)。音柝(おんぎ、さんぎ)ともいう。

◎夜警が打つ拍子木。

◎相撲で使用する拍子木。
◎寄席で打つ拍子木。


キー<(英)key >
◎ピアノやオルガンなど鍵盤楽器の指で押さえる鍵の部分。木管楽器の指穴部分。
◎音の調子。声音域で基音となる音のこと。

消え物(きえもの) 上演のたびに実際に消えてなくなる消耗品の総称。食べ物や煙草、鉄砲の火薬など。


擬音(ぎおん) 実際の音に似せて、笛や器具、声によって作り出す模擬音。


戯曲(ぎきょく) 上演を目的とした台本、脚本。または上演するための条件を考慮して書かれた作品。【同義】脚本


技術監督(ぎじゅつかんとく)<(英)technical director > 劇場の舞台美術、照明、音響、舞台機構操作など技術部門の統括責任者。劇場設備の管理、作業の安全管理、スタッフの労務管理、技術部門の作業スケ ジュールの作成、予算作成など技術部門の総指揮をする。


キッカケ 音を出すのに最もよいとき、機会。その約束された個所。機会を知らせる合図。


キッカケ合わせ(キッカケあわせ) 通常の稽古や本番では、音の出し方、キッカケ、音量、音質、寸法を考えて操作するが、キッカケだけを主眼とした稽古のことをキッカケ合わせという。


キッカケもの 音が出ないと舞台の進行に重大な影響を及ぼし、時にはそのために進行が中断する場合、その音を「キッカケもの」、または「役もの」という。


キックバック<(英)kickback > 手数料。礼金。割り戻し金。リベート。


きまりもの 定式物のこと。【参照】定式物


脚色(きゃくしょく)
◎原作を劇化すること。
◎戯曲を原作として再構成すること。脚色されたものを脚本という。


客電(きゃくでん) 劇場、ホールなどの客席用の照明をいう。開演中は、この照明を消したり、少し絞ることがある。


脚本(きゃくほん) 上演するために可能な条件を具備した作品。台本のこと。【同義】戯曲


キャスティング<(英)casting > 役を割り振ること。配役。


キャスト<(英)cast > 配役。


キャットウォーク<(英)cat walk > 劇場やスタジオなどの天井裏や頭上の作業用通路、足場のこと。

 

キャパシティ<(英)capacity > 容量。収容能力。観客席数。


ギャラ ギャランティの略。


キャラクタ<(英)character > 劇中の登場人物の性格をいう。


ギャランティ<(英)guarantee > 出演料。謝礼金。手当。


キュー<(英)cue > 
◎演技、音楽、照明、音響などのキッカケを指示するために決めてある合図。インカムなどの通話装置や身振りで指示するハンドサインにより合図をする。Qと略して表示する。
◎テープレコーダのCUEスイッチは、早送りや巻き戻し中に、テープを再生ヘッドに接触させて、音を確認するための装置。
◎音響調整卓のキュー回路。モニタ回路に信号を送り込む機能。


狂言方(きょうげんかた) 狂言作者のこと。【参照】狂言作者


狂言作者(きょうげんさくしゃ) 歌舞伎作者ともいい、歌舞伎の脚本作者のこと。現在では、演出補佐と舞台監督の仕事をする。舞台進行の合図の柝を打ったり、プロンプターの役目もする。


切り出し(きりだし) 山、樹木、建物などの形に切り抜いた板に、絵を描いた大道具。


切れる(きれる)
◎一幕が終わること。「序幕が切れた」といえば、序幕が終わったということになる。
◎登場人物が物陰に入って、客席から見えなくなること。


 

クォリティ<(英)quality > 音質、性能、特性の意。


クライマックス<(英)climax > 頂点。最高潮。


グラウンド<(英)ground > アースと同意語。


クラシック<(英)classic > 古典。西洋の古典音楽を指す。


グランドピアノ<(英)grand piano > 弦が水平に張ってある大型のピアノのこと。【参照】ピアノ


グランプリ<(英)grand prix > 大賞。最高賞。


クルー<(英)crew > チームのこと。テレビクルー、サウンドクルーなどという。


黒衣(くろご) 歌舞伎の舞台で、登場人物の介添をする「後見(こうけん)」のことで、黒い衣服、黒い頭巾を被っている。舞台上で衣装を変化させる手伝いを したり、不用の小道具を片づけたりする。歌舞伎では黒は「無」を意味するので、黒衣は無いもの、見えないものとする決まりがある。【参照】後見


 

稽古(けいこ)<(英)rehearsal > 演劇の稽古には、本読み、読み合わせ、立ち稽古(たちげいこ)、附け立て(つけたて)、総稽古(総浚い)、舞台稽古があり、この順に行われる。実際に効果音や音楽を入れて行われるのは附け立ての段階からである。


芸中(げいなか) 演劇やショーなどの正味時間。したがって、この中には舞台転換時間および休憩時間は含まれていない。


劇作家(げきさっか) 演劇の上演台本を書く人。戯曲家ともいう。


劇場(げきじょう)<(英)theatre/theater > 演劇や映画などを、上演または上映して観客に見せる場所。歌舞伎劇場、オペラ劇場、ミュージカル劇場などの専用劇場がある。


蹴込み(けこみ) 階段の前面の垂直の部分、またはこの部分を覆う板や幕のこと。


ゲネプロ<(独)General probe > ドイツ語のゲネラルプローベの略。初日(本番)と同じ条件で行われる通しの舞台稽古のこと。本来は、関係者に公開で行われる。GPと略して記す。


 

公演(こうえん) 公衆の前で演劇、舞踊、音楽などを演じること。


効果音(こうかおん)<(英)sound effect >
◎広義には、音響部門が担当する、演劇の演出表現をするために用いられるすべての音を指す。SEと略して記す。音楽の場合はMまたはMEと記すことがある。
◎狭義には、演劇などに用いられる音楽以外の音。


興行(こうぎょう) 演劇、演芸、スポーツなどを行い、入場料をとって客に見せること。相撲興行、プロレス興行など。


後見(こうけん) 歌舞伎や日本舞踊で、演技中の演者の後ろに控え、衣装を直したり、着替えを手伝ったり、小道具の扱いの介添えなどをする人。歌舞伎では多 くの場合、黒い衣服と黒い頭巾の「黒衣(くろご)」がこれにあたるが、舞踊のときは袴をつけたり、かみしもとカツラをつけて顔を見せている。能では、演技 者に事故が起きた場合、代役がつとまる者が後見をする。


柿落とし(こけらおとし) 新築された劇場やホールの開場披露の初興行のこと。


コストパフォーマンス<(英)cost performance > 投入した費用に見合った能率、効果。


小道具(こどうぐ) 舞台で使用する器具、役者の携帯品などの総称。大道具、衣装などの区別は複雑である。家の戸板は大道具だが、それへ人を乗せる場合や立ち廻りに使用する場合は小道具になる。【参照】大道具


コミカル<(英)comical > こっけいな。おかしい。喜劇的な。


コミック<(英)comic > 喜劇の。


コミュニティセンター<(英)community center > 公民館。地域住民のための公共施設を集合させた場所。


コメディアン<(英)comedian > 喜劇俳優。


コメディー<(英)comedy > 喜劇。


コメンテーター<(英)commentator >  解説者。


コメント<(英)comment > 評論、注釈、説明、解説。


小屋(こや) 劇場または映画館、演芸場などを呼称する俗語。


コロシアム<(英)Colosseum > 競技場。


ころび 柱などを傾斜させて設置する大道具のことで、「3寸ころび」「5寸ころび」などという。 


小割(こわり) 7分×1寸角の角材のこと。長さは2間。


コンサートホール<(英)concert hall > 交響曲や協奏曲など、主にクラシックのオーケストラ専用に建築設計および音響設計されたホールのことで、パイプオルガンが備え付けられていることが多い。ウイーンのムジークフェラインザールやボストンシンフォニーが有名である。日本では、大阪のザ・シンフォニーホール、東京のサントリーホールと東京芸術劇場大ホール、名古屋の愛知県芸術文化センターのコンサートホールなどがある。


コンサートマスター<(英)concert master > オーケストラやアンサンブルの第1バイオリンの首席演奏者で、全体をリードしていく役割をもつ。


コンセプト<(英)concept > 概念。新しい考え方。


 

サイクロラマ<(英)cyclorama > ホリゾントのこと。【参照】ホリゾント


サウンドチェック<(英)sound check > 音響システムをセッティングしたあとの確認、調整。


サウンドデザイナー<(英)sound designer > 【参照】音響デザイナー


サウンドリンフォースメント<(英)sound reinforcement > コンサートや演劇などで、電気音響装置を用いて、音声や楽器の音量を補強したり、音質を補正して音空間を創造すること。この音響装置をsound reinforcement system という。SRと略す。


サス残し(さすのこし) 照明の手法。場面の途中や幕切れで全体の照明を消して、サスペンション・ライト(略してサス)だけで特定の登場人物を照らしている状態。


サスペンション・ライト<(英)suspension spot light > 略してサスという。舞台の天井から吊るした照明器具で、下に向けて照らす照明のこと。または、そのように配置した照明器具。


サスペンス<(英)suspense > 舞台、映画、小説などで、観客や読者をはらはらさせて興味をもたせる技法。


さぶろく 3尺(約90cm)×6尺(約180cm)の大きさの平台。


さんきゅう 3尺(約90cm)×9尺(約270cm)の大きさの平台。


三段(さんだん) 3段に作られた階段のこと。1段の高さが7寸(21cm)、踏板幅が8寸(24cm)、幅3尺(90cm)の標準規格の大道具。


 

地明り(じあかり) ◎舞台の仕込み作業や転換作業のための照明をいう。◎舞台全体をフラットに照明する一種のベースライトをいうこともある。


シアター<(英)theatre/theater > 劇場。


地方(じかた) 日本舞踊などの伴奏音楽の演奏者のこと。踊り手に対して、唄、三味線、囃子などの演奏者をいう。


地がすり(じがすり) 舞台の床に敷き詰める布で、地面を表すもの。布の色は場面によって選択され、通常はグレーを用いるが、黒や茶を使用することもある。雪の場面の白色のものは雪布、河や湖を表す水色は水布、海を表す波の模様のものは浪布という。


シノプシス<(英)synopses > 筋書、概要、要約。映画のあらすじ。


シミュレーション<(英)simulation > 模擬実験。模擬データ。


下出し(しもだし) 回り舞台を下手が前に出てくるように回転させること。本回しともいう。【反対】上出し【参照】回り舞台


下手(しもて) 客席側から舞台をみて、左側のことを下手という。外国では、舞台から客席側を見て左右をいうので、下手はステージライト(stage right )という。【反対】上手


紗幕(しゃまく)<(英)gauze cloth/gauze curtain> 織り目の粗い、透ける布で作った幕のこと。幻想、霧、霞などを表現するために、舞台装置をぼかして見せための幕。


シューティング<(英)shooting > フォーカシングと同意語。


商業演劇(しょうぎょうえんげき) 営利を目的として上演される演劇のこと。ニューヨークのブロードウェー、ロンドンのウエストエンドで上演されている演劇 やミュージカルが商業演劇。東京では東宝系の帝国劇場、東京宝塚劇場、松竹系の歌舞伎座、新橋演舞場などで上演される演劇。


商業劇場(しょうぎょうげきじょう) 商業演劇を上演する目的の劇場のこと。


定式(じょうしき) 劇場に常備されている基本的な大道具の総称。舞台装置を組み立てるときに、応用のきく寸法に規格化されていて、組み合わせによって種々の形にできるので、新しく作る手間が省け、組立作業も能率がよい。


定式幕(じょうしきまく) 歌舞伎に使う引き幕。黒、柿色、もえぎ色の3尺(約90cm)幅の木綿布を縦に縫い合わせた幕。狂言幕、歌舞伎幕ともいう。通常 は、下手から上手に向かって開け、上手から下手に向かって閉める。この幕は明治初年まで、官許の劇場だけが使用できた。


所作(しょさ) その場に応じた身のこなし、ふるまい、踊り、演技。

所作事(しょさごと) 歌舞伎の、舞踊または舞踊劇で、主に長唄の伴奏によるもの。芝居の中に組み込まれた、踊りの部分。略して所作という。


所作台(しょさだい) 歌舞伎の所作事(しょさごと)や日本舞踊のとき、舞台一面に敷く檜の板で作られた台のこと。高さ4寸(約12cm)、幅3尺(約 90cm)、長さ10尺(約300cm)または12尺(約360cm)が規定の寸法。表面は4枚の板を継ぎあわせてあり、なめらかで足の運びがよく、足拍 子の音を良くする工夫がしてある。


所作舞台(しょさぶたい) 日本舞踊や歌舞伎の所作事ために、舞台と花道に所作台を敷つめた舞台のこと。別名「置き舞台」ともいわれる。

心(しん) 舞台の中心のこと。舞台の間口の中心点から、奥へ真っ直ぐに伸ばした線。回り舞台の中心は「盆の心」という。


 

スコア<(英)score > フルスコア<full score >ともいう。演奏されるすべてのパートをまとめて記した楽譜。スコアに対して、各パートだけの楽譜をパート譜という。


スタイリスト<(英)stylist > テレビや写真の撮影のとき、衣装やアクセサリー、小道具などをアレンジして、手配を担当する人。


スタッフ<(英)staff > 軍事用語の参謀、幕僚とか職員、部員などの意味から転じたもので、映画や演劇などの制作に従事する作家や演出、美術、音響、照明などの部門を担当する、俳優以外の人たちの総称。【参照】裏方


スタントマン<(英)stunt man > 主役俳優などの代役として、曲技や危険な場面の演技を行う人。


スタンバイ<(英)stand by > ◎準備、用意の意味。出演者やスタッフにキッカケの用意を知らせる言葉。◎予知される事故に備えて、あらかじめ用意されている代わりの物や人をいう。◎音響装置をセットして、すぐに音が出せる状態にすること。その状態のこと。


ストリートパフォーマンス<(英)street performance > 街頭で演じられる演奏、演技など。


ストレートプレイ<(英)straight play > 純粋な演劇。ミュージカルやオペラなどと区別して、歌の伴わない演劇を指す。


すのこ 舞台の天井の一段下のところが「すのこ状」になっているのでこの名称がついた。雪を降らせたり、枯れ葉を落とす効果は、すのこの上で行うことがある。関西では、「ぶどうだな」と呼ぶ。


スポット残し(スポットのこし) 照明の演出テクニック。幕切れや場面の途中で、照明がフェード・アウトになったとき、特定なものだけにスポットライトが当たっている状態。


スポットライト<(英)spot light > 照明器具の一種。レンズのついた器具で、光源から出た光を反射鏡とレンズで集光し、一方向に強い光のビームを照射する照明器具。アクセントをつけるのに用いる。


 

制作/製作(せいさく)<(英)produce/production > 芸術作品を作ること。映画や商業演劇の場合は製作と書くことがある。


制作者/製作者(せいさくしゃ)<(英)producer > 芸術作品を作るための、全体のまとめる役。プロデューサーとも呼ぶ。【参照】プロデューサー


セット<(英)set > 舞台や映画撮影、テレビ番組で使う舞台装置のこと。


セットアップ<(英)set up > 準備が完了すること。舞台装置の組み立て、照明や音響機器の設置や配線が完了すること。


迫り(せり)<(英)elevating stage/elevators > 舞台の床面の一部を四角に切り抜き、それを手動または電動で、上げ下げできるようにした舞台転換の機構。この上に、出演者や舞台装置などを乗せて、出演者の登場や退場、舞台転換などをする。


千秋楽(せんしゅうらく) 演劇、相撲などの興業の最終日のこと。昔は劇場の火災が多かったので縁起をかつぎ、「秋」という字を「穐」に変えて千穐楽と書いた。


 

総稽古(そうげいこ) 動作のともなった立ち稽古の次に、音楽や効果音を入れて総合的に行われる、稽古場での最終稽古。総稽古の次に舞台稽古が行われる。


袖幕(そでまく) 舞台の脇にあるスピーカや照明器具、出番を待っている役者たちが、観客席から見えないようにするための黒い幕。大道具の端をこの幕でさえぎることで、道具が舞台の脇の方まで続いているように想像させる効果もある。


ソリスト<(英)soliste> バレエで、群舞を背景に一人で踊る人。独唱者。独奏者。


ソロ<(伊)solo > 「単独に」という意。演奏の形態のひとつで、独りで演奏する独奏。または、独りで歌う独唱のこと。


 

ダイアログ<(英)dialogue > 二人の対話、問答、台詞。 【反対】モノローグ 【参照】せりふ


大臣柱(だいじんばしら)
◎能舞台の向かって右手前にある脇柱の別名を大臣柱という。この柱の近くワキが座るが、ワキの多くが大臣に紛することから大臣柱とも呼んだ。
◎江戸時代の歌舞伎舞台では、上手の義太夫が座るチョボ床を支える奥の方の柱を大臣柱と呼んだ。後にそれに対応する下手の柱も同様に呼ぶようになった。


台本(だいほん) 台詞の他に、登場人物の出入りや動き、大道具、照明などの段取りが詳細に書き込まれた上演用の本。舞踊で用いる唄や振りなどが書き込まれ たもの。本番台本、プラン台本、打合せ台本、訂正台本、加筆台本、カット台本、演出台本、テレビ放送用カット割り台本などの種類がある。


タイミング<(英)timing > 
◎間(ま)、間合い(まあい)。
◎タイミングテープの略。白味(しろみ)ともいう。

高足(たかあし) 大道具の標準寸法のひとつ。舞台床面から2尺8寸高いこと。舞台で御殿や寺院など格の高い屋敷の装置を組むときは、この高さにすることが多い。

立ち位置(たちいち) 役者や歌手が舞台に立つときの定位置。

立ち稽古(たちげいこ) 稽古の段階で、台詞だけの稽古の「読み合わせ」の次に行われるもので、舞台装置などの配置を仮定して動きがともなう稽古。


立ち廻り(たちまわり) 
◎能の場合は舞の一種として扱う、切り合いの場面、演技。
◎殺陣(たて/さつじん)ともいう。映画、テレビ、舞台で演じられる喧嘩や切り合いなど格闘の場面。この場面の演技の型を殺陣という。殺陣の型を考えたり 役者に指導するのが殺陣師である。所作事の中で立ち廻りをする「所作立て(しょさだて)」や暗やみの中を表現する「だんまり」などがある。


タッパ 建築用語で「高さ」のことをいう。立端、建端などと書く。大道具などの高さや、舞台の高さをいう。


殺陣(たて) 芝居や映画の乱闘の場面。立ち廻りともいう。


建て込み(たてこみ) 大道具を組み立てること。【同義】飾り込み


ダブルキャスト<(英)double cast > 二人の俳優が、一つの役を交代で演じること。


駄目(だめ) 演技、演奏、音響、照明、美術などの具合の悪い部分のこと。


駄目出し(だめだし) 演出家が、俳優やスタッフの具合の悪い部分を指摘したり、念を押したり、訂正をすることをいう。


垂木(たるき) 1.2寸×1.3寸角で、長さ2間の木材のこと。


 

中足(ちゅうあし)大道具の標準寸法のひとつ。舞台床面から2尺1寸高いこと。舞台で武家屋敷、商家などの装置を組むときによく用いられる高さ。


チョンパー 歌舞伎舞踊の照明技法のひとつ。舞台と客席を暗くしておいて、柝の音の合図で、舞台と客席の照明を一斉に明るくする照明の演出効果のこと。


 

使いまわし(つかいまわし) 一度使った大道具や小道具、効果音などを、他の場面でも使うこと。


つけ 歌舞伎で、演技にアクセントをつける手法のひとつ。立ち廻りや走って出入りするときや強調したい演技のときに、舞台の上手端で、床に置いた板を拍子木で打って誇張すること。打つ人のことを「つけ打ち」、打つ板を「つけ板」という。


つなぎ幕(つなぎまく) 舞台転換(装置転換)のために幕を降ろすが、休憩にしないで、続けて次の場面が始まること。つなぎ幕の間、音楽や効果音を流すことが多い(ブリッジ)。【反対】本幕


綱元(つなもと) 舞台の上手または下手の奥などにある、吊り物や照明器具用のバトンを昇降する引綱がまとめられている場所のこと。ここで吊り物の重量に合 わせて「おもり」を調節してバランスをとっておき、綱を操作して吊り物の高さを調整する。現在は電動になっているものが多い。


常足(つねあし) 大道具の標準寸法のひとつ。舞台床面から1尺4寸、高いこと。シャクヨンともいう。舞台で民家などの装置を組むときによく用いられる高さ。


ツボ合わせ(つぼあわせ) 日本舞踊で、複雑なキッカケなどを重点的に稽古すること。


吊り枝(つりえだ) 舞台の天井から吊られた大道具の木の枝のこと。


吊りバトン(つりバトン)<(英)batten > 大道具や照明器具などを吊るためのバトン。


吊り物(つりもの)<(英)flying > 舞台やスタジオのバトンに吊るされる背景、幕、木の枝などの大道具の総称。


 

ディレクター<(英)director > 演出家、監督のこと。さまざまな職種にディレクターの名称がある。レコーディングディレクターは、レコーディング現場で進行の指揮をとる人。テレビ番 組の制作関係には各種のディレクターが存在する。英国ではダイレクターと発音する。

できあき 舞台の転換のとき、幕を降ろしても休憩をとらずに、舞台の準備ができると、すぐに開幕すること。


テキストレジ <(仏)text regie > 台本の台詞の追加や削除などをすること。または、それらを台本に記入すること。


テキレジ テキストレジの略。


テクニカルディレクター<(英)technical director > 劇場やテレビ局で、技術スタッフを指揮する技術部門の総責任者。テレビではTDと略される。


鉄管(てっかん) バトンの別称。


出道具(でどうぐ) 舞台装置の一部として飾っておく小道具。置き道具ともいう。例えば、机、額、茶器など。幕が明いてから持ち出す道具や、役者が身に付けて出るものなどは持道具という。【参照】持道具 


てれこ 
◎互い違い、交互にすること。大道具の左右を入れ替えること、台詞の順序を逆にすること、音を入れ替えることを「てれこにする」という。江戸歌舞伎で、二つの違った筋を一つの脚本で、交互に展開させていくことを「てれこ」と呼んだことが語源。

◎上下、左右の順序が逆であること。あべこべ、食い違うこと。

田楽返し(でんがくがえし) 張物の一部を方形に切って、縦または横の中心を軸として裏返すことによって場面を替えたり、亡霊や忍者などを出没させたりする装置。豆腐田楽に似ていることからいう。


 

道具調べ(どうぐしらべ) 演劇では舞台稽古、テレビではカメラリハーサルまたはドライリハーサルの前に、舞台またはスタジオに各場面の大道具をセットして、手落ちなくできているかを確認すること。

道具帳(どうぐちょう) 舞台装置図のこと。正確な縮尺による平面図、正面図、部分図などからなる。


道具幕(どうぐまく) 山や屋外、塀などを描いた幕で、ほかの大道具を使用せず一場面の装置として使用する。振りかぶせ、振り落とし、引栓などの手法で用 い、次の場面へ素早く転換することが目的である。次の場面への継ぎの幕としても使用される。山幕、雲幕、浪幕、網代(あじろ)幕などの種類がある。


東西幕(とうざいまく) 舞台の下手と上手の袖幕の奥に、袖幕と直角に吊った黒幕。袖幕の奥の方が観客席から見えないようにするためのもの。本来は、歌舞伎の定式幕のこと。


通し稽古(とおしげいこ)<(英)run through > 途中を省略することなしに、始めから終わりまで通して稽古すること。


遠見(とおみ) 遠くの風景を描いた「張物」や幕。風景の内容によって、野遠見、山遠見、町家遠見、浪遠見、宮遠見、庭遠見などがある。あまり遠くない風景を描いたものは「中遠見」といい、舞台の半分だけが遠見になっているものは「片遠見」という。


ト書(トがき) 台本で、登場人物の出入りや動き、場面の状況や道具配置、衣装や照明の変化、音楽の指定や説明などを台詞の間に記入したものをいう。語源は台本に「・・ト由良之助急いで舞台へくる」というように、必ず始めに「ト」を付けて書いたことによる。


トーク<(英)talk > 話す、語る、しゃべる。演説。


特殊効果(とくしゅこうか) 舞台美術や照明技術に含まれない特殊な視覚効果の技術のこと。煙や火炎、爆発などの効果を扱う。略して「特効」と呼ぶ。


とちる 
◎台詞や演技を間違えること。やりそこなったり、まごついたりすることをいう。
◎スタッフがキッカケを間違えること。


飛ばす(とばす) 
◎舞台装置や幕、照明器具、スピーカを取り付けたバトンなどを吊り上げること。fly upという。
◎リハーサルで、途中を抜いて先へ進めること。


トーメンタ<(英)tormentor> 舞台両サイドに設置される縦長の幕または張物。緞帳の背後に設置され、袖の見切れ隠しと舞台額縁の装飾を兼ねている。通常、目立たないように中立的な色にする。


トラス<(英)truss > 架設舞台などで使用する、トラス形式の橋に似ている架設バトンのこと。建築物を補強するために柱の間などに斜めに交差させて取り付けた筋交いの建材をトラスという。

とり 
◎最終幕の場面をいう。
◎その日に上演される芝居の中で最後の芝居のこと。◎演芸や歌謡ショーで、最後に演ずる人、歌う人のこと。「とりをとる」という。

取る(とる) 舞台では「終わる」「止める」ことを「取る」という。「これで舞台稽古を取ります」などと用いる。

とれる終わること。終演するという意味。


ドロップ<(英)drop curtain/backdrop > 演劇や舞踊の場面に必要な背景が描かれている幕で、舞台後部のバトンに吊って使用する。背景幕ともいう。


緞帳(どんちょう)<(英)curtain > プロセニアム形式の劇場で、舞台と客席とを仕切る幕のこと。プロセニアムのすぐ後ろに吊って昇降される。左右に引くものは引幕(ひきまく)という。


 

中抜き(なかぬき) 稽古の途中を省略すること。


中日(なかび) 劇場の公演期間の真中の日をいう。役者は、中日祝または出銭(でせん)といって、劇場関係者に祝儀を出すのが慣例である。


なぐり 大道具係が使用している金槌のことをいう。


奈落(ならく) 舞台および花道の床下のこと。舞台機構として、回り舞台や迫り(せり)が発達し、その機構など収納されている地階。迫りに乗る場所、花道の揚幕への通路としても利用される。


鳴り物(なりもの) 下座音楽に用いる三味線以外の楽器または演奏、演奏者の総称。主奏楽器は太鼓、大鼓、小鼓、笛、大太鼓。助奏楽器として桶胴(おけど う)、楽太鼓(がくだいこ)、本釣鐘(ほんつりがね)、銅鑼(どら)、当たり鉦(あたりがね)、オルゴール、キンなど多くの種類がある。


ナレーション<(英)narration > ラジオ、テレビ、映画、演劇、レコードなどの「語り」のこと。歴史的背景や状況、登場人物の心情を語ったり、解説したりする。


ナレーター<(英)narrator > ラジオ、テレビ、映画、演劇、その他における語り手。解説者。


 

二重舞台(にじゅうぶたい) 舞台やスタジオの床よりも高い床が必要なとき、一定の高さの台を作り、その上に作る舞台装置のこと。舞台やスタジオの床と舞台 装置の床が二重になっているので、この名称がついた。規定の高さとして、尺高(しゃくだか)1尺、常足(つねあし)またはシャクヨンの1尺4寸、中足 (ちゅうあし)の2尺1寸、高足(たかあし)またはニハチの2尺8寸などがある。


二段(にだん) 2段に作られた階段のこと。一段の高さが7寸(約21cm)、踏板の幅が8寸(約24cm)、長さが3尺(約90m)の標準規格の大道具。


二ベル(にべる) 開演ベル。通常、このベルが入って幕が開いて、芝居やコンサートが開始される。本ベルともいう。【参照】一ベル


 

貫(ぬき) 5分×3寸角で、長さ2間の木材のこと。5分×1.5寸、2寸、4寸のものもある。


 

乗り打ち(のりうち) 各地を移動して公演する巡業で、公演が終了するとすぐに次の公演地に移動して、翌日に公演をする形態。


乗日(のりび) 巡業で次の公演地に移動するための日のこと。


 

背景(はいけい)<(英)scenery > 広義の舞台装置。舞台の最後部に設置して使用する風景、情景が描かれた幕または張物。


背景幕(はいけいまく)<(英)drop curtain/backdrop > 風景などが描かれた幕。ドロップと同意語。


パイプ バトンのこと。鉄管ともいう。


ハウリング<(英)howling > スピーカから出た音がマイクロホンで収音され、増幅されて再びスピーカから送出され、これが繰り返されて生じる発振現象のこと。acoustic feedbackともいう。


箱足(はこあし) 【参照】足


箱馬(はこうま) 【参照】足


端折る(はしょる) 演奏や演技の途中を省略すること。


パート譜(パートふ)<(英)part > オーケストラやアンサンブルの一人ひとりの演奏する部分だけが書かれた楽譜。


バトン<(英)batten/fly-bar/pipe batten > 劇場やテレビスタジオで、大道具や照明器具などを吊るための鉄のパイプをいう。バトンはワイヤで吊られていて、ワイヤーの片側に重り(カウンターウエィト)を付け、バトンに吊るしたものと重さのバランスをとり、手動または電動で昇降させる。鉄管、パイプとも呼ぶ。


花道(はなみち) 歌舞伎劇場の舞台機構。舞台の下手から客席の中を突っ切って設置された舞台。上手に同じように作られる場合は「仮花道」という。これに対 し下手の花道を「本花道」と呼ぶ。現在の仮花道は可動式のものがほとんどである。花道の途中に設けてある迫り(せり)を「すっぽん」という。


はね返りスピーカ(はねかえりスピーカ)<(英)fold back loudspeaker > 演奏音の一部または歌などを、ステージ上の演奏者や歌手に聞かせるためのモニタ用スピーカシステムのこと。FBと略して書く。ステージモニタスピーカともいう。


はねる その日の公演が終了すること。終演。「9時にはねる」などと使う。昔、芝居が終わると外囲いのムシロを上にはねておいたことから生じた言葉。略して「はね」ともいう。


パフォーマンス<(英)performance > 演技、演奏、上演などの意。


パフォーミングアーツ<(英)performing arts > 演劇、舞踊、オペラ、ミュージカルなど、舞台で演じられる舞台芸術のこと。


ハーモニー<(英)hamony > 二つ以上の音が調和した心地よい響きのこと。この状態を「ハモる」という。


ハモる ハーモニーの状態にすること。


バミる 演技者の立つ位置やマイクロホンを立てる位置などの目印として、床にビニールテープなどを貼ること。


ハミング<(英)humming > 歌詞を発音しないで、唇を閉じ、口の中に共鳴させて歌うこと。言葉でなく、mやnに響かせる。


端役(はやく) 主要でない役、またはその役を演じる俳優。


早トチリ(はやとちり) ◎所定のキッカケよりも早く音を出すこと。◎早合点(はやがてん)。◎キッカケよりも早く台詞を言ったり、舞台に登場すること。


張りぼて(はりぼて) 岩や石燈篭など、竹や木で骨を組んで形を作り、紙や布を重ねて貼って彩色した大道具や小道具。現在では発泡スチロールやウレタンなどで製作したものが多い。


張物(はりもの)<(英)flat/scenery panel > 舞台装置の基本的な大道具で、細い木材(小割り)などで骨組みをした枠に、ベニヤ板や布、紙などを張り付けたパネルのこと。これに絵を描いて、背景や舞台装置の壁などに用いる。パネルとも呼ばれる。


反響板(はんきょうばん) 多目的に使用される劇場で室内楽やオーケストラのコンサートを行うとき、残響特性を補正するために用いる音響反射板のこと。一般的に、背面、天井面、側壁面に設置してコンサートホールの音響条件に近づける。


ハンドサイン<(英)hand sign > ハンドシグナル、ハンドキューともいう。言葉を使わずに、手や指の形や動きで示す各種の合図。


半丸(はんまる) 客席から見える部分だけを立体的に製作した大道具。丸い柱や岩石の半分ほどを写実的に作ること。


半回し(はんまわし) 回り舞台を使用するとき、通常は180度回転して裏と表を入れ替えるが、半回しは90度程度回転して舞台装置の角度を変えて見せる演出方法。【参照】回り舞台


 

灯入れ(ひいれ) 舞台装置の灯台、あんどん、燈篭、提灯などに、照明器具を仕込み点灯させること。


弾きうたい(ひきうたい) 楽器を演奏しながら歌うこと。浄瑠璃では「弾き語り」という。【参照】弾き語り


弾き語り(ひきがたり) 
◎浄瑠璃などで、三味線を弾きながら、自分で語ること。
◎吟遊詩人などのように、朗読や吟詠の合間に、自分で楽器を奏でること。
◎楽器を演奏しながら歌うこと。「ギターの弾き語り」「ピアノの弾き語り」などという。

引雑用(ひきぞうよう/ひきぞうよ) 地方巡業中、スタッフや出演者にそれぞれ支給される食事代と宿泊費のこと。通常は引雑といっている。


引幕(ひきまく)<(英)tab curtain > 左右の片方に開閉する幕のこと。日本では歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)が一般的。【参照】

 

定式幕

引枠(ひきわく)<(英)stage wagon > 平台(ひらだい)などにキャスタ(車)をつけた移動用の台。この上に舞台装置を組み立て、転換を簡単に早くするために用いたりする。


引割(ひきわり) 
◎場面転換の手法。背景が中央で割れていて、これを左右に引くと、後に次の場面が現れてくる仕掛け。場面転換が早くできる。
◎引割幕、中割幕の略称。


引割幕(ひきわりまく)<(英)draw curtain > 舞台の中央から割れて、左右に開ける幕のこと。緞帳の代わりに用いることもあるが、舞台の中間に設置して幕の前で演技をしながら後ろで場面転換をすることが多い。中割幕ともいう。


美術バトン(びじゅつバトン) 大道具類を吊るためのバトンのこと。


平 台(ひらだい) 舞台装置を組むときや演奏者が乗る台を作るときに使う台。高さは4寸(約12cm)。大きさは3尺(約90cm)×3尺、4尺(約 120cm)×4尺、3尺×6尺(約180cm)、4尺×6尺のものがある。サブロクと呼ばれる3尺×6尺のものがもっとも多く使われる。3尺×3尺はサ ンサン、4尺×4尺はヨンヨン、4尺×6尺はシブロクと呼んでいる。三角形の「あぶらげ」と呼ばれるものは、3尺×3尺を対角線で切ったものと、3尺×6 尺を対角線で切ったものがある。


平土間(ひらどま)<(英)stalls/orchestra > 歌舞伎劇場の本花道と仮花道との間の観客席の部分のこと。現在は、一階の桟敷席を除く観客席の部分。


平目(ひらめ)<(英)flat> 「丸物」の対語で、「張物」「切出し」「カットクロス」のような平面的な大道具のこと。


 

ファンタスティック<(英)fantastic > 空想的な、気まぐれな、風変わりな。とても素晴らしい。


ファンファーレ<(英)fanfare > 式典などで、金管楽器で高らかに吹奏される曲。三和音だけを使う。


フィナーレ<(伊)finale > 終曲のこと。いくつかの曲からできている作品、例えば交響曲などの最後の楽章のことをいう。


ブーイング<(英)booing > 観客が演技や演奏などに不満があるとき、ブーブーといって、やじをとばすこと。観客が不平不満を表す行為。


フェスティバル<(英)festival > お祭り。催し物。


フォーカシング<(英)focusing > 照明の当たり合わせ。照明器具を調節して、照明を当てる位置、範囲などを決める作業。


フォーマット<(英)format > 公式的な。形式的な。


ふかす 大道具の位置を高くすること。台に乗せて人物、物体を高くすること。雪洲(せっしゅう)するともいう。


副舞台(ふくぶたい) 演技をする主舞台に対して、主舞台の左右と奥に設けたスペースのこと。次の場面の舞台装置を準備するスペース。側舞台、後舞台ともいう。


舞台(ぶたい)<(英)stage > 演技を行う場所のこと。多くの民衆に見せるための工夫、複雑な演出や演技を可能にするための工夫がされて発展した。観客席と隔離したもの、観客席の中に設置したものとがある。


舞台裏(ぶたいうら)<(英)back stage > 観客席からは見えない楽屋や舞台袖などの総称。


舞台奥(ぶたいおく)<(英)up stage > 舞台の後部。欧米ではアップステージというが、これはヨーロッパの古い劇場の舞台はスロープ状になっていて、奥の方に行くにしたがって床が高くなっていたため。


舞台監督(ぶたいかんとく)<(英)stage manager > 演劇を上演するにあたって、演出者の指示どおりに、舞台上のすべてのことを運行する責任者のこと。歌舞伎では狂言作者の仕事であり、劇団では演出部あ るいは文芸部の仕事に属する。テレビではフロアディレクターがその役目をする。「ブカン」と略して呼ぶことが多い。


舞台機構(ぶたいきこう) 迫り、回り舞台、スライディング装置、バトン、緞帳など舞台床や舞台上部などに設置してある恒久設備。演出効果を高め、場面転換を省力化して迅速にする目的で使用される。


舞台稽古(ぶたいげいこ)<(英)dress rehearsal > 実際の舞台で、衣装、化粧、小道具、かつら、音楽、音響、照明、大道具など、いっさいの条件を本番と同じにして行われる稽古。ゲネプロともいう。

舞台操作室(ぶたいそうさしつ) 舞台機構を操作するためのスイッチが集合している部屋。舞台操作盤ともいう。


舞台袖(ぶたいそで)<(英)side stage/bay area > 舞台両脇の奥の場所。ここに舞台装置や照明機器、スピーカ装置などが設置または用意されている。「ふところ」とも呼ばれる。


舞台転換(ぶたいてんかん) 一つの公演の中で、次の演目、幕、場、景の舞台装置に換えること。


舞台端(ぶたいばな)<(英)down stage > 舞台の最前部。舞台と客席の境界。欧米ではダウンステージという。


舞台美術(ぶたいびじゅつ) 大道具、小道具、衣装、かつら、メークアップ、舞台照明など舞台の視覚的な演出要素の総称。


ぶっつけ 映画や放送などでリハーサルやテストをしないで、いきなり撮影、録音すること。ぶっつけ本番などという。


フットライト<(英)footlight > 舞台の最前部の床、または花道沿いの床に設置して、演技者を足下から照らす照明器具。仮設型と埋込型がある。


ぶどう棚(ぶどうだな) 【参照】すのこ


不滅電源(ふめつでんげん) 劇場、ホールなどで、調光室や電気室で制御されない電源。いつもでも使用できる電源。単に不滅ともいう。


フライブリッジ<(英)fly bridge > バトンの間に吊ってある舞台設備で、人が乗って歩けるようになっている橋のようなもの。スポットライトやボーダーライトが取り付けられていて、花びら や落ち葉を散らす場所としても使用する。略してブリッジと呼び、FBと略記することもある。


プランナー<(英)planner > 作品または番組を企画する人。音響のプランナーは台本にもとづいて、効果音やその他の音響処理を企画し、監督する。仕事の内容は、演出家や照明スタッ フ、美術スタッフ、作曲家と打ち合わせして、取材、録音、編集を行い、音響機器の選定と配置を立案して、オペレーターに音のバランスや音質などを指示し、 音を演出する。


プランニング<(英)planning > 計画の立案をすること。企画すること。


振り(ふり) 
◎舞踊は、踊り、舞い、振りの3つの部分からなっている。振りは歌詞の意味を形で表現すること。
◎しぐさ。俳優の動作のこと。

振り落とし(ふりおとし) 歌舞伎の舞台転換のひとつ。舞台の上から吊ってある道具幕、浅葱幕(あさぎまく)、黒幕などの前で演技をした後、その幕をキッカ ケで一瞬に落とす技法。一瞬に幕の後ろにセットしてある次の場面に変化するので、観客に強い印象を与える演出効果がある。


振りかぶせ(ふりかぶせ) 歌舞伎の場面転換のひとつ。場面が終わったところで、引き幕の代わりに、舞台の上に束ねて吊ってある浅葱幕や道具幕などを一瞬の うちに落として、その場面をかくすこと。振りかぶせを行って、その幕の前で演技をしている間に、舞台装置の転換を行う。次の場面にするには「振り落とし」 を行うか、吊り上げるか、または引き幕として開ける。


プロセニアム<(英)proscenium > 舞台開口部。劇場の舞台と客席とを区分する額縁状の枠(proscenium arch)。prosと略記する。【参照】額縁


プロセニアム劇場<(英)proscenium theater > プロセニアムを持ち、プロセニアムアーチを境として、舞台と観客席がまったく別の空間に区分されている劇場形式。プロセニアムステージともいう。舞台 と観客席が同一空間に共存している形式のものはオープンステージと呼ぶ。


プロダクション<(英)production > 制作会社。映画製作会社、テレビ番組制作会社、演劇制作会社。日本では芸能人斡旋会社のことも指す。

プロデューサー<(英)producer > ◎芸術作品を作るために、作品の立案して、予算を立て、スタッフ、スケジュールの編成を行い、宣伝や営業までのすべてを統括する人。◎放送では演出部門の総責任者。


プロローグ<(英)prologue > 序幕、序曲のこと。音楽や演劇で、作品の意図などを暗示する前置きの部分。【反対】エピローグ


 

ページェント<(英)pageant > 野外劇。仮装行列。


 

邦楽(ほうがく) 明治期に輸入された欧米の音楽に対することばで、日本の音楽という意味。広義には歌謡曲やニューミュージックを含めた、日本で作られた音楽の全体をいう。狭義には三味線音楽、箏曲、尺八など近世の俗楽を指す。


干す(ほす) 
◎出していた音量をしぼること。
◎音を出さないこと。
◎仕事からはずすこと。


ポーズ<(英)pause > 
◎テープレコーダの一時停止スイッチ。
◎間(ま)。
◎舞踊、演劇で動きを静止すること。歌舞伎の見得(みえ)。


ボーダー<(英)border > 
◎一文字幕幕やカットクロスなど舞台の上部を観客の視線から遮るもの。
◎ボーダーライトの略称。


ボーダーライト<(英)border light > 舞台の上部に吊って、舞台全体を均等に照らす照明機具。舞台上の照明のベースとなる。


ポータル<(英)portal> 
◎偽のプロセニアム。プロセニアムの開口部の内側にあって、開口の最小の縁を形成するもの。通常は調整ができて、板製のものをHard、布製のものをsoftと称する。
◎プロセニアムについているドアまたは出入口のこと。

ホリゾント<(独)horizont > 舞台やテレビスタジオの後方一面に設けられた幕または壁で、照明によって空や無限の空間などを表現する。また照明効果器で雲や雪などを投影することもある。サイクロラマ(cyclorama)ともいう。


ホール<(英)hall > 会館、講堂。公会堂(a public hall)、コンサートホール(a concert hall)のこと。


盆(ぼん) 回り舞台のこと。【参照】回り舞台

本花道(ほんはなみち) 上手の客席に仮設される「仮花道」に対して、本来の下手の花道を「本花道」と呼ぶ。ホンハナと略して呼ぶこともある。


本舞台(ほんぶたい) 本来は、歌舞伎舞台の上手大臣柱と下手大臣柱との間のこと。現在では花道に対して正面の舞台を本舞台と呼んでいる。プロセニアム劇場では、プロセニアムの内側を指す。【参照】大臣柱


本幕(ほんまく) 
◎幕の種類。緞帳または割緞のこと。 
◎幕の使用法。舞台転換のためのつなぎに用いる幕に対して、各場面を区切る目的で使用する幕を本幕という。【反対】つなぎ幕

本読み(ほんよみ)<(英)reading rehearsal > 放送、演劇、映画などで、稽古に入る前に役者やスタッフを招集して、作者または演出家が脚本を読んで聞かせること。本読みの次に「読み合わせ」が行われる。


 

間(ま) 
◎合間(あいま)。
◎休拍。
◎リズム。リズム感覚。


幕(まく) 
◎劇場において観客席と舞台とを区別する布の名称。上下に昇降する緞帳(どんちょう)と左右に開閉する引幕(ひきまく)とに分類される。引き幕の代表的な ものは定式幕(じょうしきまく)で、狂言幕(きょうげんまく)とも呼ばれる。また、道具幕(どうぐまく)と称される浪幕・雲幕・山幕、ホリゾントの代用に なる浅葱幕(あさぎまく)、幻想場面などに使われる紗幕(しゃまく)、死骸をかたづけたりするときなどに使われる消し幕(けしまく)、暗転に使用する暗転 幕(あんてんまく)、舞台上部を隠す一文字幕(いちもんじまく)や、舞台左右の袖を隠す袖幕(そでまく)、または見切幕(みきりまく)などがある。
◎芝居においての大きな一区切りのこと。
◎その情景が終わることを「幕になる」という。


幕間/幕合(まくあい) ひとつの場面が終わって、幕が閉められてから次の幕が開くまでの間。幕が閉まっている間で、芝居の休憩時間。ただし、つなぎ幕で音楽や効果音などが流れている場合は幕間とはいわない。


松羽目(まつばめ) 能舞台の模倣で、正面の羽目板には松の絵が描いてあり、左右の羽目板には竹が描かれている歌舞伎の舞台装置。能や狂言をもとにした舞踊劇などを演じるときに用いられる。


マニュアル<(英)manual > 手引き書。手動式の、人力の。


丸物(まるもの) 大道具の製作方法。立体的に製作した大道具を丸物という。立ち木や岩石、石燈篭などは丸物が多い。


回り舞台(まわりぶたい)<(英)revolving stage > 舞台機構のひとつで、日本で考えだされたもので、盆(ぼん)ともいう。舞台の床を円形に切り抜いて回転する床を作り、この上に2場面または3場面の舞 台装置を設置し、これを電動または手動で回転させて場面を転換する。素早く場面を転換することができる。下手が前に出てくるように回転することを本回し、 または下出しといい、上手が前に出てくるように回転することを逆回し、または上出しという。また、90度回すことを半回しといい、舞台装置を別の角度から 見せる演出もある。2つの場面がセットされていて、いったん場面を転換し、また元の場面に戻すことを「いってこい」という。1758年、並木正三が大阪の 角座で使ったのが最初で、これに刺激されて、1896にミュンヘンの王立劇場がヨーロッパで初めてこの方式を取り入れた。


 

見切り(みきり)<(英)wing flat > 大道具や背景の不体裁な部分を隠すために用いる「張物(パネル)」または「切り出し」のこと。舞台両脇から見える舞台裏のぼろ隠しでもある。不体裁な部分が露出することを「見切れる」という。


見切れる(みきれる) 観客席から舞台裏が見えてしまうこと。物陰に隠しておいたものや隠れている人物が見えてしまうこと。「見切り」や「一文字幕」「袖幕」を用いて隠す。


見込む(みこむ) 演者が、ある方向をじっと見ること。


ミスキャスト<(英)miscasting > 配役を誤ること。


ミステリアス<(英)mysterious > 神秘的な。不思議な。


ミステリー<(英)mystery > 怪奇映画、推理映画。神秘、怪奇、不可思議。


ミスマッチ<(英)mismatch > 不適合。機器の接続状態が悪いこと。


みずひき<(英)teaser/first border > 緞帳のすぐ後にある一文字幕のこと。


ミッドナイトショー<(英)midnight show > 深夜興行。


見計らい(みはからい) 芝居などで、使用される音やキッカケを固定せず、その都度に適宜の処理をすること。


 

メイジャ<(英)major > 長音階。長調。【反対】マイナー


メーキャップ<(英)makeup > 化粧。俳優の化粧・扮装。メイクアップ、または略してメークともいう。


メドレー<(英)medley > 二つ以上の曲や旋律などを続けて演奏すること。


メルヘン<(独)Marchen > 空想的、神秘的な内容のおとぎ話、童話。


メロディアス<(英)melodious > 旋律が美しいこと。音楽的であること。


 

もぎり 劇場などで観客の入場券をあらためて入場させること、またはその係、場所。


持道具(もちどうぐ) 役者が身につけて舞台に出る小道具のこと。【参照】出道具


 

八百屋飾り(やおやかざり) 
◎舞台やスタジオで、後方を高く、手前を低く傾斜させた床の上に、遠近感をつけた舞台装置。またはその手法をいう。八百屋の陳列台に似ているところから名付けられたもので、略して八百屋という。開帳場と同じ意味に使われることもある。【参照】開帳場 
◎テレビ・カメラで写しやすいように、品物を陳列するための傾斜した台。


屋体(やたい) 屋台とも書く。舞台上にセットされる家屋の舞台装置をいい、御殿、宮殿、寺社、民家、商家、農家などをいう。舞台床上に直接セットされる平屋体(ひらやたい)と、二重(にじゅう)といわれる台の上に組み立てられる二重屋体とがある。


山台(やまだい) 歌舞伎の舞踊などで、常磐津(ときわづ)、清元(きよもと)などの演奏者が演奏するときに座る台のこと。


 

床(ゆか) 歌舞伎や文楽で、義太夫を演奏する場所。上手端にある簾(みす)の内部で語るときは簾内(みすうち)といい、姿を見せるときは出語りという。


ユニゾン<(英)unison (伊)unisono > 
◎「一致」「同音」という意味。いくつかの楽器あるいはオーケストラ全体が、同じ音程や旋律を演奏すること。オクターブで演奏する場合も含めていうことが多い。
◎全員が同じ振りで踊ること。


 

読み合わせ(よみあわせ) 出演者が、台本にある各自の役の台詞を読みながら進める稽古。演技(動作)が伴わない、台詞だけの稽古。


 

楽(らく) 千秋楽の略。【参照】千秋楽


楽日(らくび) 千秋楽の略。【参照】千秋楽


 

リアリズム<(英)realism > 写実主義。


リアル<(英)real > 真実の、本当の、現実の、実在の。


リギング<(英)rigging > 舞台設備に音響機器や照明器具を取付けること。


リサイタル<(英)recital > 独唱会。独奏会。


リハーサル<(英)rehearsal > 稽古、テストとも呼ばれる。演劇や音楽の練習、稽古のこと。テレビでは、ドライリハーサルやカメラリハーサルなどがある。


 

レストランシアター<(和)restaurant theater > 舞台を備え付けた飲食店。


レパートリーシステム<(英)repertory system > 演劇やオペラなどで、一定の期間中、一定数の演目を毎日かわるがわる上演する公演形式。


レビュー<(仏)review > 舞踊、音楽、歌などを取り合わせたショー。


  


ロイヤリティー<(英)royalty > 著作権使用料。印税。特許使用料。技術使用料。


ロイヤルボックス<(英)royal box > 劇場、競技場などに設けられる特別席。貴賓席。


ロビー<(英)lobby > 控え室と通路を兼用する広間。


ロングランシステム<(英)long run system > ミュージカルや演劇などで、一つの演目を長年、連続して興行すること。通常、客足が落ちるまで続けられ、評判の良い演目は10年以上も上演される。


 

割緞(わりどん)<(英)tab curtain > 劇場で使用する幕で、中央で割れている緞帳。中央から左右に開閉するものと、左右の斜め上に引き上げて開閉するものがある。左右の斜め上に引き上げる形式のものをオペラカーテンと呼ぶこともある。